葛飾区公用車12台でNHK受信料未払いが判明、公用車に対するカーナビ標準機能への徴収に疑問の声も

葛飾区は12月11日、公用車12台に搭載されたテレビ受信機能付きカーナビについて、NHKとの放送受信契約が未締結だったと発表しました。
平成23年10月から令和8年3月分まで約13年半分の受信料157万4,448円を遡って支払う予定です。
※写真はイメージです。
13年以上の契約漏れが発覚
未契約の詳細
- 対象機器:テレビ受信機能付きカーナビゲーションシステム12台
- 未払い期間:平成23年10月~令和8年3月(約13年半)
- 支払い予定額:157万4,448円
区では今後、速やかにNHKと受信契約を締結し、設置時期に遡って受信料を支払うとしています。
カーナビのテレビ機能は標準装備
今回の問題の根本には、現在のカーナビゲーションシステムにテレビ受信機能が標準で搭載されている実情があります。
カーナビの現状
- 多くの機種でテレビ機能が標準装備
- 機能を取り外すことは技術的に困難
- 購入時にテレビ機能なしの選択肢が限定的
自治体が公用車を調達する際、テレビ機能の有無を選択することは現実的に難しく、結果として「使わない機能」への受信料負担が発生してしまいます。
公用車での長時間視聴は現実的でない
公用車の使用実態を考えると、NHKを長時間視聴する状況は極めて限定的です。
公用車使用の実態
- 職員の移動が主目的
- 運転中のテレビ視聴は道路交通法で禁止
- 停車時も業務優先で視聴時間は短時間
- 災害時等の緊急情報収集が主な用途
このような使用実態にもかかわらず、家庭用テレビと同額の受信料を徴収する現行制度には疑問の声もあります。
NHK受信制度の柔軟性が求められる
今回のような事案は全国の自治体で発生しており、NHK側の制度運用にも課題があると指摘されています。
制度上の課題
カーナビの標準機能への一律徴収
実際の視聴時間や頻度を考慮しない料金体系
公用車という公共性への配慮不足
自治体への負担増加
公用車での実際の利用状況を考慮した、より柔軟な制度運用が検討されても良いのではないでしょうか。
全国的な課題として認識される
公用車のカーナビに関するNHK受信料の課題は、全国の自治体で共通して発生している現象です。
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特に注目されるのは、消防車や救急車といった緊急車両からも受信料を徴収している現状です。
これらの車両は市民の生命を守る重要な役割を果たしており、果たしてそこから受信料を徴収することが適切なのか、疑問視する声も上がっています。
受信料減収も背景か
近年、NHKの受信料収入は若者のテレビ離れや配信サービスの普及により減少傾向にあります。このような状況下で、カーナビという新たな徴収対象への注目が高まっている可能性も指摘されています。
しかし、公用車での実際の視聴実態を考慮せず、機械的に受信料を徴収する姿勢には、公共の利益という観点から見て疑問が残ります。
今回の問題は、単なる自治体の事務処理ミスを超えて、NHK受信料制度の構造的な課題を浮き彫りにしたのではないでしょうか。










