葛飾区でマイナンバーカードが紛失、交付前のカード1枚が行方不明に
個人情報保護への関心が高まる中、葛飾区で重大なトラブルが発生しました。
金町区民事務所において、交付前のマイナンバーカード1枚が紛失し、現在も見つかっていないことが8月22日に発表されました。
※写真はイメージです。
6月下旬に発覚、約1か月間見つからず
問題が明らかになったのは6月30日のことでした。
委託事業者が7月1日の来庁予定者向けの交付前最終確認作業を行った際、対象のマイナンバーカードが見当たらないことに気づき、区職員に報告しました。
興味深いのは、その4日前の6月26日には同じ委託事業者が交付前準備作業を行っており、この時点では対象カードの存在を確認していたという点です。わずか数日の間にカードが行方不明になったことになります。
迅速な対応と当事者への配慮
紛失が判明した翌日の7月1日には、区職員と委託事業者が事務所内を捜索しましたが発見には至りませんでした。その後の対応は比較的迅速でした。
対応の経緯
- 7月3日:区職員と委託事業者が対象者宅を訪問し、説明と謝罪を実施
- 7月4日:個人番号の変更処理を実施
- 7月7日:マイナンバーカードの再作成処理を実施
- 7月9日:警察への遺失届を提出
- 7月17日:新しいマイナンバーカードを対象者に交付
対象者は個人番号の変更とカードの再作成について了承し、約2週間後には新しいカードを受け取ることができました。
悪用の痕跡はなし、しかし不安は残る
葛飾区は、紛失したカードを使用して各種証明書が交付された形跡はないことを確認したとしています。
これは不幸中の幸いといえますが、個人情報が記録されたカードがどこにあるのか分からない状況は、やはり不安を残します。
区が推測する発生原因は「作業の過程で他の書類等に紛れた可能性がある」というものです。しかし、重要な個人情報を含むカードがこのような形で紛失することは、管理体制に課題があることを示唆しています。
再発防止策は十分か
葛飾区は再発防止策として以下の対策を発表しています。
- 防犯カメラの設置推進
- 他の書類に紛れることを防ぐための整理整頓の徹底
防犯カメラは事後の検証には役立ちますが、紛失そのものを防ぐ効果は限定的です。また「整理整頓の徹底」という対策は、やや精神論的な印象も否めません。
マイナンバーカード管理への影響
この問題は、マイナンバーカードの管理体制について改めて考えさせられる事案です。
デジタル庁はマイナンバーカードの普及を推進していますが、地方自治体での管理に課題があることが露呈した形となりました。
特に委託事業者が関わる作業工程での管理体制や、カードの所在確認方法について、より厳格な仕組みづくりが求められそうです。
幸い今回は悪用された形跡はありませんでしたが、個人情報保護の観点から見ると重大な案件といえます。他の自治体でも同様のリスクを抱えている可能性があり、全国的な管理体制の見直しが必要かもしれません。
葛飾区には今回の問題を教訓として、より確実な管理システムの構築を期待したいところです。
